やせる為にはまず肥満及び肥満症を知らなければならない
やせる為にはまず肥満とは何かを知らなければならない。
肥満とは「脂肪組織が過剰に蓄積した状態」である。
脂肪組織量とよく相関する体格指数であるBMI(body mass Index)が25以上であれば肥満と判定する。
肥満症とは「肥満と判定された者で,(1)肥満に起因あるいは関連する健康障害があるか、(2)ハイリスク肥満である内臓脂肪蓄積がある場合」をいう。
肥満症には2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症、非アルコール性脂肪性肝疾患、高尿酸血症、月経異常、肥満関連腎臓病などが合併しやすく、心、脳血管疾患や癌などが発症しやすい内臓脂肪蓄積優位の肥満症(visceral obesity)と、骨・関節など運動器障害、睡眠時無呼吸を起こしやすい皮下脂肪蓄積優位の肥満症(subcutaneous obesity)、およびBMI35以上で心不全、呼吸不全などを呈する高度肥満(morbid obesity)に分類される。
特に内臓脂肪が過剰に蓄積した肥満では脂肪細胞でのアディポサイトカイン(adipocytokine )【アディポカイン(adipokine)ともいう】の生産・分泌異常が生じるため、これらの疾患が次々に発症する。
肥満症の原因は
(1)過食および運動不足
(2)遺伝
(3)心因
(4)体質
(5)内分泌異常
とに分けられる(1)によるものは外因性肥満症あるいは単純性肥満症、(2)~(5)によるものは内因性肥満症と呼ぶ。
外因性肥満症は内因性肥満症よ明らかに多い。
外因性肥満症は社会病の一つであると考えられる。
現代の生活様式では、過食の機会が多く、逆に運動の機会が少なくエネルギーの消費量も低い。
しかし、この外因性肥満症でも内因性の因子の関与は否定できない。
脂肪細胞は年齢とともに大きくなり細胞数も増加する。
思春期以後は細胞数が増加する。
先天的にこの細胞数が多い場合には、外因性肥満症になりやすい。
職業その他の生態因子によって、食欲調節機序のみだれやすい傾向も、外因性肥満症を起こしやすい。
家庭の食事傾向、民族差なども関与する。
内因性肥満症の原因と考えられる遺伝因子ならびに体質には不明の点が多い。
さきに述べた脂肪組織、食欲調整機序、さらには内分泌機能の個人性によるものであるろう。
家族調査で両親に肥満症が見られる場合には、その子供が70%に肥満症がみられ、片親の場合は50%、両親が正常体重の場合は、わずか10%であることが知られている。
心因は肥満症の原因となりうるが、肥満症が心因を悪化させる。
不要、劣等感、ストレスなどが、肥満症と悪循環をきたす。
食欲中枢は大脳の視床下部の腹側内側核と外側核にあり、この2核の拮抗関係でバランスをとっている。
この中枢には、情緒感情、胃機能、血糖などが関係すると考えられている。
脳腫瘍、脳炎、または髄膜炎後遺症、頭部外傷後遺症で肥満症はおこりうる。
内分泌(および代謝)因子による肥満症は比較的まれである。
Cushing症候群はその典型である。
特殊なものとしてはLaurence-Moon-Biedl症候群、Fröhlich症候群があり、視床下部の異常によると考えられている。
また、ステロイドの長期投与による医原発性肥満症もある。
肥満症は糖尿病、冠状動脈硬化症、胆石症、脂肪肝、腎臓症などの疾患を合併症として起こしやすい。
さらに心理的な異常も起こしやすい。
また重症の肥満症では、酸素不足、傾眠などの症状で特徴づけられる心呼吸症候群(Pickwickian症候群)を起こすことがある。