サノレックス
サノレックス錠(マジンドール錠)は摂食調節中枢であるVMH及び視床下部外側野(LHA)への直接作用及び神経終末におけるモノアミン(ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン)の再吸収抑制を介した機序により、摂取エネルギー抑制(摂食抑制、 消化吸収抑制)及び消費エネルギー促進(グルコース利用、熱産生促進)をもたらし、更に肥満時にみられる代謝変動を改善することにより肥満症を是正するものと考えられている。
薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており、依存性について留意しなければならない。
アンフェタミン系薬物は前シナプス細胞からのアドレナリン放出を増強することで食欲抑制効果を発現するが、アドレナリン放出が枯渇すると作用が持続しない。
サノレックス錠(マジンドール錠)は再取り込み阻害により放出されたアドレナリンの作用を高めるため、中枢神経の興奮や依存性が起こりにくいと考えられているが、多くの注意点があるため、保険診療上は厳しく制限されている。
サノレックス錠(マジンドール錠)はあらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法及び運動療法の補助として処方される。
サノレックス錠(マジンドール錠)は肥満度が+70%以上又はBMIが35以上の高度肥満症であることが確認された上で適用が考慮される。
肥満度(%)=(実体重-標準体重)/標準体重×100
BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)^2
サノレックス錠(マジンドール錠)が処方された際は、定められた効能又は効果に従い、用法及び用量を厳守して服用しなければならない。
サノレックス錠(マジンドール錠)には処方可能期間が制限されている。
処方可能期間が制限されている理由は依存性と肺高血圧症の発症増加による。
副作用としては口渇感、便秘、胃部不快感、悪心などが多く、精神症状、自律神経症状、中枢・末梢神経障害などが多くみられる。
サノレックス錠(マジンドール錠)は以下の患者には処方されない(禁 忌)
⑴ サノレックス錠(マジンドール錠)の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
⑵ 緑内障の患者[眼内圧が上昇するおそれがある。]
⑶ 重症の心障害のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
⑷ 重症の膵障害のある患者[インスリン分泌抑制作用を有する。]
⑸ 重症の腎・肝障害のある患者[代謝又は排泄が遅延するおそれがある。]
⑹ 重症高血圧症の患者[カテコラミンの昇圧作用を増強する。]
⑺ 脳血管障害のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
⑻ 不安・抑うつ・異常興奮状態の患者及び統合失調症等の精神障害のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
⑼ 薬物・アルコール乱用歴のある患者[このような患者では一般に依存性、乱用が起こりやすいと考えられる。]
⑽ MAO阻害剤投与中又は投与中止後2週間以内の患者
⑾ 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
⑿ 小児