レプチン

1994年末に遺伝性肥満 ob/ob マウスの病因遺伝子としてクローニングされた肥満遺伝子産物(レプチン)は代表的な脂肪組織由来ホルモン(アディポサイトカイン)であり、視床下部に直接作用することにより強力な摂食抑制作用とエネルギー消費増加作用をもたらすことが知られている。

一方、レプチン受容体は、遺伝性肥満 db/db マウスの病因遺伝子としてよく知られており、サイトカインのシグナル伝達物質であるgp130と構造的には類似しており、細胞内ではJAK2/STAT3経路を活性化する。

レプチン受容体は視床下部のみならず抹消組織において広く分布しているが、抹消臓器におけるレプチン、レプチン受容体の病態生理的意義は不明な点が多い。

肥満あるいは体重増加に比例して脂肪組織におけるレプチンの生産・分泌が増加するが、大部分の肥満者ではレプチンの作用障害(レプチン抵抗性)のためにレプチンの作用発現が認められないと考えられている。

一方、レプチン遺伝子異常症や脂肪委縮性糖尿病のようなレプチン欠乏状態では、臨床的にもレプチン投与の治療効果が検証されており、国内外で治療薬としての臨床応用が進められている。